知らない人も多い? 有償ボランティアタクシーの話。

いつの間にやら時代は令和に。
季節も春から少しずつ初夏を感じられるような暑さへと移り変わって…
いるかのように思ったら、めちゃくちゃ寒かったり T_T
変化が著しくてなかなかついていけない私です。
皆様はいかがお過ごしでしょうか。

さて今日は、知らない人も多い?かもしれない
「有償ボランティアタクシー」について。

昨日、ちょうど有償ボランティアタクシーのご依頼をいただいて
午前中「タクシーの運転手さん」をしていました。
そう、実は私、タクシーの運ちゃんでもあるのです。

でもなんで?

有償ボランティアタクシーという仕組みについてご存知ない方がいるやもしれないと思い、せっかくの機会なのでここ、クラシカルで書いてみたいと思います。

有償ボランティアタクシーって何ですか?


画像があくまでの「タクシー」のイメージ画像です

上勝町に来たことがある方は、車がどれだけこの町での暮らしにとって重要な移動手段であるのかご存知かと思います。上勝だけに限らず、多くの田舎では基本的に車が一番の移動手段。移動手段というよりもライフラインのひとつ、くらい。無くてはならないものに近いのです。
しかしながら、高齢になるにつれて運転ができなくなってしまう方がいて、そうなると、買い物や病院へ行くことなどにも支障が出てきます。

でも、上勝町内にはタクシー会社がありません。
過疎化が進む中、2002年に町内のタクシー業者が休業し、2004年には徳島バスが上勝路線を廃止しました。現在では町内を走る町営バスが公共交通機関として運行されていますが、1日1時間に1本あるかないかという本数。休日だともっと本数は限られます。

また、町営バスが運行されるのは基本的に県道16号線という町内を走る「大きな道路」のみ。55の集落があり、山奥に暮らす人も多い上勝では、バスの停留所まで出て行くだけでも一苦労という方がいるのも現実です。

そこで誕生したのが「上勝町有償ボランティア輸送事業」
タクシー会社の休業、路線バスの廃止を受けて、上勝町は2003年に国から日本で初めて「構造改革特区」の認定を受けました。車の運転ができない高齢者等の診療所への通院や、買い物、隣町の勝浦町から出ている徳島市内行きの路線バスへのアクセスのための移動手として、登録したボランティアが自家用車を活用して運営する有償ボランティアタクシーの導入を検討。有償、だけれど住民たちのボランティアを基本として運営されるタクシー事業がスタートしたのです。

どんな風に運営されてるの?

では実際にはどのように運営されているのか。

有償ボランティアタクシーは現在「NPO法人ゼロ・ウェイストアカデミー」が事務局となり運営しています。

タクシーの利用希望者はまず、ゼロ・ウェイストアカデミーに連絡し、
利用希望日時と送迎地を伝えます。これは一般的なタクシーの手配方法と一緒です。

その後、ゼロ・ウェイストアカデミーが登録しているボランティア(運転者)の中で対応可能な方を探して調整してくれます。
受けられる運転者がいればその旨を依頼者に伝え、これでタクシーの予約は完了です。

あとは指定した日時にタクシーが来るのを待つのみ。
以下の画像のようなステッカーを貼った車が迎えに来てくれます。

実際に私の車に貼っている様子 このステッカーを貼ってお迎えにあがります

料金について、まずこの事業は会員登録制度を採用しています。
利用者は申請者1000円、申請者の家族一人あたり年200円の年会費を支払い会員となってから利用します。あとは1kmあたり100円として走った距離数と、迎えに来てもらった場合は迎車料金300円を支払いします。

タクシーの運転者は以下の条件のもと、登録された人だけが請け負うことができます。
(1)運転歴10年以上の者で、かつ74歳までの者であること。
(2)過去3年間運転免許停止処分を受けていないこと。
(3)第2種免許を持っている者。第2種免許を持っていない者については、国土交通大臣認定講習を受講した者。
(4)運転者として登録する者は年1回以上の基本検診を受診すること。

私も2年前(だったかな?)に講習を受けてからタクシーの運転者をやっているのです。

先にも書きましたが、この有償ボランティアタクシー事業の運転者は「ボランティア」を基本としています。私もそうですが、一般的にはそれぞれ仕事を持っていて、その間の時間で対応できれば対応するというスタンス。
ここがサービスとして運営されるタクシー会社と違う点で、つまりは都合が合わない場合は予約ができないこともある、ということをお忘れなく。

このタクシー事業は当初は町民の移動手段としてのみ運営されていましたが、
現在は視察者や観光客なども幅広く利用することができます。

例)昨日のタクシーの話

で、昨日の話ですが、山奥に住む高齢者の方が市内の歯医者まで行くというので送らせていただきました。

お迎えに上がる道中はこんな感じです。

えぇ、とても眺めがいいですね。


本当にこの道で合っているのか…?と、進めば進むほど不安になる道を登り、


ガードレールのない道を、対向車が来ないことを祈りながら進む…。

無事に依頼者を迎え、市内まで約1時間、32kmほどのタクシーでした。
目的地までの道中、いろんな話をして、特に地元の方を乗せた場合はいつの間にか
私も普段あまり使わない徳島の方言…というか上勝弁?で話をします。
昨日も息子の話をしていて
「もう3歳にもなったら、よう口もたって、はがいたらしいて〜。」
と、久しぶりに「はがいたらしい=腹がたつ」という言葉が出てきて自分でも驚きました(笑

私にとっては、いつもはあまり会わない人たちに会えたり
自分が上勝の子だったと思い出すような時間がタクシーの時間です。

以上、少々長くなりましたがご参考までに!
上勝に来る際はゆっくりバスで来たり、レンタカーを借りる手段もありますが
もしもの時はこの有償ボランティアタクシーも活用してみてくださいね。

参考URL
環境首都創造NGO全国ネットワーク 事務局
環境自治体ベストプラクティス集

徳島県及び徳島県上勝町における地方創生に向けた交通の取り組み

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  • […] 有償ボランティアタクシーについて纏めてくれていたのでわたしの拙い言葉より、こちらへ! […]

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