お土産、お断りさせていただいております!

今日はあまり写真がないですけど、最近ようやく勇気を出して始めた
「お土産を断る」ということについて書いてみます、てるみです。

お土産をもらった時の、複雑な気持ち。


お土産、もらうと嬉しいですよね。
そう、基本的には嬉しいしありがたいものです、お土産。
ただ、私はずっとモヤモヤを抱えていました。

上勝町では現在ごみを45種類に分別しています。
数だけ聞くと途方もないようで、めんどくさいようにも聞こえますが
物の行き先がはっきりしているのは逆にわかりやすいもので
「これはここ、これはこっち。」と慣れてしまえば、分けずに混ぜることの方が気持ち悪く感じてしまいます。
例えば、都会では生ごみと紙ごみを一緒に「燃えるごみ」として出している地域もありますが

「生ごみと紙が一緒なんて…(;゚д゚)(ぞわっ)
みんな、気持ち悪くないのかな…?」

というような感覚なんです。
上勝町民はみんな意識が高くてすごいですね、ということを言われることがありますが
町のシステムとして町民が「やり慣れた」ことも現在の上勝町のリサイクル率約80%を達成している要因の一つかと思います。

でもやっぱり、ごみを町内一箇所のごみステーションと呼ばれる場所まで自分で持って行かなくちゃいけないことや、ごみを資源化するために「洗って乾かしてから出す」のはめんどくさかったりします。
プラスチックの袋が洗った後になかなか乾かなかったりしたら、すっごくストレスになったりします(笑)

なのでできる限りごみを出さないぞ!と心がけて買い物に行く時はマイバッグやタッパーなどを持参しますが、予期せずやってきてしまうものもあります。

それが、お土産です。

結構前からお土産について「どうすればいいのかな?」と思っていました。
なぜかと言いますと、お土産は個別包装されているものが多く、たくさんごみが出ます。しかしながらお土産って、大前提として「善意」「良き物」であるので
「いえ、いりません。」と無下にしてしまうのも大変申し訳ない。
でもごみは出るしなぁ…というモヤモヤ。

特にゼロ・ウェイストを学びに来ましたという方や、取材で訪れるメディアの方々からお土産をいただくとたくさん「?」を抱いてしまうのです。

ごみというのは、人がごみだと認識した瞬間にごみになります。
だからこそ、お土産を準備する・買う・渡すまでは素敵なギフトでも、
相手に渡されて役割を終えると、箱やラッピング用紙、プラスチック袋はごみになってしまいます。

もらって嬉しい気持ちと、ごみが増えた…というストレスと…。
そんな複雑な思いを抱えていたのでした。

さらに私が感じているのは「お土産を渡す」という行為が習慣化され過ぎていて
本来の「感謝を込めて持参する進物」ではなくなってしまっていないか?ということです。
空港で見繕ったお土産を本当に相手は喜ぶんでしょうか?
相手の方も、なければないで「手土産の一つもないのか。」と思ってしまう風習があるのも確かで、互いに当たり障りのない範囲で交換されているお土産が私としては気持ちが悪いなと思っていました。

上勝町だからできることをやらなければ、全く価値がない。

最近、国内外問わずゼロ・ウェイスト関連の取材が増えました。
それは世界的にプラスチックフリーや海洋ごみ等のトピックが取り上げられることが多くなったこともありますが、以前松本が書いた記事「世界は上勝を見つけた。」に登場したNPO法人ゼロ・ウェイストアカデミーの坂野理事長によって世界に向けて上勝のゼロ・ウェイストの取り組みが発信されたことも大きく影響していると思います。

そんな中で取材の際にいただくお土産の品々にまたモヤモヤ…。

「お土産を断ったら、どうなるだろう?」
次第にそんな不安と好奇心が高まってきました。
そして以前、サンフランシスコに住むベア・ジョンソンさんを訪ねた時のことを思い出しました。

ベア・ジョンソンさん。現在はゼロ・ウェイストな暮らし方についてレクチャーしながら世界中を回っています。写真に写っているビンが家族4人で1年間に出た焼却ごみ。

私たちはベアさんのご自宅を訪ねたのですが、その際にごみにならない何度も使える風呂敷をお土産として持って行きました。
訪問した際にそれを手渡すと明確に「ごめんなさい。受け取れないの。」という言葉と絶対に受け取らないという姿勢を示してくれました。
その時に私は「徹底しているんだ」と感心し、尊敬したのを覚えています。

そうだ、ベアさんに自分はお土産を受け取ってもらえなくても(少し残念だったけど)すごくショックを受けたわけでも、怒りが湧いてきたわけでもない!
自分もやれるかも…!?

そしてある時、あれはそう、フランスメディアの取材を受けた時、思い切って断ろうと決意し、言ってみたのです。

「大変ありがたいけれど、お土産は受け取りません。ここはゼロ・ウェイストの町なので、分別が大変なんです。気持ちだけをありがたくいただきます、ありがとう。」

そう勇気を出して伝えたところ、相手から返ってきた言葉は

「当然だ! すみません。こちらが十分に考えていなかった。さすがゼロ・ウェイストの町だ。」

というものでした。

残念な顔や怪訝な顔をされるのではと恐れてドキドキしながら言いましたが、断ったことについて共感してくれたのはとても嬉しかったです。

この一件以来、私はお土産をお断りしています。
断る時は申し訳ないけれど、ゼロ・ウェイストの町だからとちゃんと伝えれば納得してくれることがわかったからです。
また、事前に取材の日程調整をする際にはお土産を断っていることも伝えています。

ある人は「自分がゼロ・ウェイストの町に来るのに、ごみを持って来ていたとは気づかなかった。」と言いました。

私が断ることで、ごみに対する意識を変えるヒントに気づいてくれたらいいし
それができるのは、ゼロ・ウェイストを宣言して取り組んでいる上勝町という町だからです。一般的には、また通常であれば難しいことも、この町だからこそできるし納得してもらえる。この町だからこそできることをやるからこそ、意味があると思うし、それがまた町の価値を高めることにもなると思っています。

小さなことだけど、上勝だからこそできることを。

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