雨にも負けず、カゼニモマケズ。

今年は本当に雨が多い。
それに加え、今月には地球史上最大の台風なんて呼ばれる台風まで来て。
上勝町はあまり被害がなかったものの、関東や東北の被害を連日ニュースで見るたびに胸が痛くなります。

そして、こんなに雨が多いと上勝町でもやはり農作物にも影響が。
夏野菜なんかは特に日照りが少なすぎてちゃんと実る前に腐ってしまったりと、なかなか例年のようには育たないものが多かったようです。

そんな中、9月下旬から10月にかけて上勝町は稲刈り時期。
台風が来たり、雨が多くても稲は力強く育っていました。

今にも雨が降り出しそうなある日。
田んぼの方からバリバリ音がするので近づいて行ってみると、おばあちゃんが1人で稲刈りをしている。
「台風来る前に刈っとかんとなぁ」
バリバリ、バリバリ。

すると突然、調子よく動いていた機械が止まった。
「どしたん?」声をかけると、「中で紐が絡みついとるわ」
軽トラを潔く走らせて家へ帰ると様々な道具を持って戻って来た。
鎌でつついてみたり、マッチで紐を燃やしてみたりなんだかんだしているうちに絡んでいた紐が取れた。
その途端、ぽつぽつと雨が降ってきた。
「ありゃだ、降ってきた〜。いっそげー」

普通なら嫌になる突然の雨すらも少し楽しげに受け入れ、その後もバリバリと稲を刈り、無事にその日の作業を終えた。

雨が多くて思うように育たなくても、台風が近づいている悪天候の日でも諦めずに大切に育ててきた農作物としっかり向き合うその姿勢はなかなか真似できるものではないなと改めて実感した日だった。

そして別の日。
仕事から家に帰る途中、ガードレールにびっしり稲が干してあった。
「あ、あの時刈った稲かな」
上勝町では稲を刈った後は“はでかけ”をすることが多いです。

普通のはでかけは稲刈りを終えた後の田んぼに木を組み、稲を干すようにするのですが、このおばあちゃんの場合はガードレールもはでかけに利用しています。
ほんとうはいけないことかもしれないのでここだけの秘密で。

ガードレールのはでかけの向こうでは、山に日が沈んでいく。
私はこの景色が大好きです。
この時期ならではの、この場所でしか見れない景色。

この先も毎年この景色が見られますように。

 

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