干し柿づくりのアーカイブ。

上勝から、メリー・クリスマス!
皆様はどんな休日をお過ごしでしょうか。

さて、今回私が書くのはクリスマスとは何の関係もない「干し柿」のこと。

「上勝暮らしカル」は上勝での暮らしをお伝えしつつ、
次の世代に繋ぎたい想いや技術を
記録・保存していくという目的をもったwebマガジンです。

私たちが書き留めておきたい
上勝で昔から作られている料理のレシピや
伝統行事、それらを継ぐ人たちの物語を
これから少しずつアーカイブとして残していきたいと思っています。

今年私が初めて作った干し柿も残したい田舎の技術のひとつ。
では早速、干し柿の作り方をご紹介していきましょう!

干し柿を作るに至った経緯


赤い線で囲んだところ、1本棒のようなものが見えませんか?これが5年前の柿の木。

今年、カフェの柿の木にたくさんの実が生りました。
(実際今年は町内全般で柿の生り年だったようです。)
5年前はひょろひょろで1本の棒にしか見えなかった木が、
こんなに実をつけるのかという驚き。
一度、お客様が車でバックした際に
その存在感の薄さからか轢かれたことがあり、
「ボキッ」と根元が折れたこともありました。

そんな事故にも、台風がもたらす大雨と暴風にも負けずに成長した柿の木。
その木の枝が頭を垂らすほどになってきて、
重たく苦しそうな姿を見かねた末、干し柿を作ることにしたのです。

干し柿づくりの手順

ではどのように作るのか。
順を追って見ていきましょう。

1. 実の調達

まずは当たり前ですが、渋柿の調達から。

様々な苦難を耐え凌いできた当店の柿の木。いつの間にか脚立がないと実を獲れないくらい大きくなって。愛着いっぱい。

私はカフェの柿を使いましたが
この時期、干し柿用の柿は産直市にい〜っぱい出ています。
お家にない方はぜひそちらでゲットしてください。


今回干し柿づくりを教えてくれたH岡さん。
私の母の友人で、当店の庭に季節の山野草を植えてくださるなど日頃からお世話になってる方です。

実を収穫する際は吊るす時に必要なひっかかりを作るため、
枝の左右を付けて切り落とすこと
私は最初、知らずにいくつか枝を付けず切ってしまいヒモが結べない自体に…。
でも大丈夫!(だった)
そんな時は楊枝か竹串を刺してひっかかりを作ってあげれば吊るせます。


たくさん獲れました。重たかっただろうなぁ。

収穫の際、H岡さんから
「実は全部獲らんと、少しだけ残すんよ。鳥やが食べる分な。」
という心得も教えていただきました。
う〜む、なるほど。自分たちも自然の一部であって、全てではない。

2. 皮むきとヒモ結び


枝の部分にご注目。この左右に少しだけ枝を残して収穫し、ヒモがかかるようにします。

実が調達できたら早速皮むき。
この作業に入る際は必ず汚れてもいい物を使うこと、だそうです。

柿渋ってありますよね。
渋柿の青い果実からしぼりとった液で、
防腐・防水剤として紙・木などに塗る
昔から使われてきた天然のニスですが、手や服につくとなかなか落ちません。
そのため手袋をして、渋柿の皮を剥く用の
ピーラーや包丁、ボウル、皮を入れるバケツなどを用意しましょう。

ヘタの部分を包丁で切り落とし、ピーラーで皮を剥いたらヒモで結んでいきます。


H岡さんが持っている平たい籠がかわいい。自分のお気に入りのアイテムを持つのも楽しみのひとつ。

通常、ビニールヒモや麻紐を使う方が多いのですが、
今回H岡さんが「ここはゼロ・ウェイストの町だから
ごみにならないヒモを調達してくださいました!

ニューサイラン」という植物です。
手で簡単に割けるのですが、非常に丈夫。
これなら干し柿ができた後も畑にポイッとするだけで土に還ります。

程よい細さに割いてから両端に輪っかを作り、それを柿の枝にかけていきます。


皮を剥いてヒモをかけた後、置いておくボール(トレー)も必要。

3. お湯で殺菌!


お湯は事前に沸かしておきましょう。今回は外での作業だったのでH岡さんが持ってきてくださった灯油ストーブを利用。

カビも美味しいものが大好き。
カビ予防として煮沸します。
と言っても、5秒ほどお湯につけるだけ。


なんだか柿をお湯に浸けるって不思議な感覚です。

4. 干す


そう、私はこの時、甘く見ていたのです。干し柿を楽しみにしているのは、私たちだけじゃなかったのに…。

干します。
この時、できるだけ柿が重ならないように。そしてできるだけ上に
よく風を当てる事と、動物たちに大事な柿が襲われないように
高い位置で吊るしましょう。

吊るした後、1週間後くらいで表面が固くなってきたら揉んであげましょう
揉むと繊維が壊れてより甘く、より早く干し柿ができます。

まとめ

以上、今回は干し柿づくりについて簡単にご紹介しました。

現在干してから約1ヶ月。
色も黒くなり完成間近かと思っていましたが…。
カビが…泣
干してから「もっと寒くなってからの方がよかったんじゃない?」
というアドバイスをいただき、確かに今年は暖冬。
その年々の気候も考慮しなくちゃです。反省。

 

そしてあんなにたくさんあった柿が、残り少なくなってしまいました…。

 

犯人はこいつだー!!


白昼堂々と犯行に及ぼうとしているタヌキ。スタッフがポールスターのタヌキだから「ポルタ」ですね、なんて名前までついちゃった。
ちなみにお客様は珍しい?タヌキが見えて大喜び。

来年こそは…来年こそは…。
こうやって少しずつ苦い経験もしながら学んで
いつか毎年美味しい干し柿を作れるようになりたいと思います。

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コメント1件

  • タケノコ より:

    頑張って作ったのに、残念な結末でしたね。でも、犯人まで撮影できたなんて凄い‼️ 味をしめた犯人は、来年もきっとやって来るから、知恵比べ…来年も頑張って!

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