とりとめのない不安と希望を書き留めておくこと。


毎年1月4日は出初めの日。今朝の様子。

本日よりお仕事の皆様。まだお正月休み中の皆様。
どなた様も明けましておめでとうございます。

1月4日の今日。
毎年1月4日といえば上勝では消防の出初め式の日と決まっておりますので
今朝も各地区の消防分団が上勝小学校に集まっておりました。

上勝町には消防署がありません。
町を大きく分けると5つの地区に分かれるのですが
それぞれに消防団という組織があって、
(大きな地区は2つ分団があるので、全部で分団は6つになりますが。)
消防団員が属し(団員といってもみな一般の町民)、各分団で消防車を管理しています。

火事が起こると役場に連絡が入り、
その後「ーーン、ーーン、ーーン」という
たぶん一生慣れることのない不気味な警報が町内中に鳴り響きます。
この音が聞こえたら、火事の現場となる地区の消防団は
即座に詰所に集合し出動。消火にあたります。
その他の地区の消防分団も詰所で待機し
必要となればすぐさま駆けつけるのです。

都会と比べると、ないものだらけの町です。

出初め式の風景から、そういえば前に友人と
「え、消防署ないの?」
という話をした時のことを思い出しました。
「ない」ということが当たり前だ、というのが伝わらなかったというか
「え、それで生活不安じゃないの?」というような話。

消防署だけでなく、確かに都会と比べればないものが多い上勝町。
上勝だけでなくいわゆる田舎はないものだらけではないでしょうか。

個人商店はあるけれど、コンビニもなければスーパーもない。
診療所はあるけれど、小児科はない。
保育園はあるけれど、幼稚園はない。

なくて当たり前の中で生活する人たちが、
あるのが当たり前の中で生活する人たちに
「無くても案外平気だよ。」と言ったところで、あまり信じてもらえないものです。

それに、ないものだらけの中で生活することが
不安じゃないとも言い切れないのも確かです。
以前息子が1歳くらいの時に、フレンチトーストを食べさせたら
顔中赤いまだら模様ができて、急いで病院に走ったことがあります。
結果的には何もなくて済んだのですが、
比較的上勝町内でも徳島市内よりにある我が家から総合病院まで車で30分。
その時はさすがに(初めてのことだったし)生きた心地がしませんでした。


豊かな自然の中で子育てできて嬉しい反面、不安があるのも確かなのです。

そしてまた、今現在既に「ない」ものもあれば、
「これからなくなってしまうもの」もあるわけで。
(ないものがあるって変な感じ。)

移住者が多かったり、新しいこと・ものが次々と
生まれているように見られがちな上勝町ですが、
刻一刻といろんなものがなくなっていっています。

私の記憶にあるだけでも、上勝に帰郷した頃から
ガソリンスタンドがなくなり、
豆腐屋さんやタバコ屋さんが閉店しました。
人口も私が中学生の時は「約2,000人です。」と言ってましたが
現在は1,552人(2019年1月号町広報誌より)と減り続けています。

いずれ上勝から、
お店というお店がなくなってしまうかもしれない。
人が少なくなって、集落がなくなってしまうかもしれない…。

考えるだけで暗くなってしまいますが、
そんな未来はそう遠くない気がしています。

枝廣淳子さんの講演


枝廣淳子さんの講演会の様子

不安を抱える中で昨年末、あるイベントに参加しました。
枝廣淳子さんという方の講演会です。


講演をする枝廣淳子さん

島根県の海士町や北海道の下川町など
先進的なまちづくりで知られる地域に携わってる枝廣さんのお話には、
先に書いた不安を希望に変えるヒントがたくさんありました。
その中で特に印象的であり、具体的だったのが、これから先の上勝町に

増えていてほしいもの、
減っていてほしいもの、
変わらずにあってほしいもの

は何かをそれぞれ考えてみるという話。

自分が暮らしている町が、例えば10年後、どんな町であってほしいのか。
もしくはどんな町に住みたいのか。
それを考える上で、上記の3点に分けてみんなで意見を出し合うというものです。


実際にちょっとみんなで考えてみた。

実際に今日、少しの時間ですが
カウンターに座っていたお客様たちとお店のスタッフで考えてみました。
5人でしたが、いろんな意見が出ておもしろいです、これ。

誰かは減っていてほしいと思っているものが、
他の人は残っていてほしいと思っていたり。

みんなが笑って、楽しく、でも真面目に
町の未来の話をしたのはいつぶりだろうか。
不安の要素分解をして、小さな希望をたくさん持てたらー。
この町で暮らすことがもっともっと楽しくになりそうです。

新年早々、とりとめのない記事を書いてしまったわけですが、
今年の初めに書いたこの記事を起点に、
今年の終わりには何か一歩を踏み出せていたらと
新年の抱負と自戒の念をこめて。

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