履歴書のいらない就職活動
上勝町で、フリーターを始めてまもなく1年。
先日フリーターになって初めての経験に驚きと新鮮な気持ちを味わいました。
今回はちょっと面白い上勝町の就職事情をお話ししたいと思います。
一番最初の記事でも書かせてもらいましたが、私は昨年の4月から上勝町でフリーターをしています。
それまでは、町内にある映像制作の会社でリポーターやナレーション、事務作業などをしていました。

つい最近も春休みシーズンだけ学童保育のお手伝いをしてもらえないかという依頼をいただきました。
そして、その時にある1枚の紙を渡されました。
「これに記入してもらってから軽く面談があるので」と。

その紙を見た時に驚いた自分に驚きました。
その紙とは特殊なものではありません。
履歴書です。
これを読んでいる人は履歴書を見て、なんで驚くんだ?と思うでしょう。
普通はアルバイトにしても、どこかの会社やお店で正社員として働く時にしても履歴書を書くのが当たり前です。
しかし、上勝町ではほとんど履歴書を書くことがありません。
フリーターになってから初めての履歴書に、どうやって書くんだっけと戸惑ったほどです。
私は履歴書がなくても仕事ができるこの町の仕組みをとても面白いと思っています。
そしてなによりも確実だなと。
上勝町では大抵口コミで仕事が増えていきます。
「あの子、最近いろんなところ仕事行ってるみたいよ〜」
「ほな、うちも来てもらえんだろか」
こんな具合ですね。
ただこの、“あの子”という部分が重要。
どんな農家さんであっても、お店であってもいくら人が足りないとはいえ誰でもいいから手伝いに来てくれというわけではありません。
ちゃんと仕事のできる、ちゃんと得体の知れている人でないと雇う方もやはり困ります。
話の話題に出る“あの子”になれるまでには私も時間がかかりました。
まずは町内で知ってもらうこと。どこから来てどこに住んでいる、誰と仲がいいとか。
存在を知ってもらわないことには、話の話題にも出ないし、手伝いに来てほしいと思ってもらえることもありません。
人の多い都市部では人を知るために履歴書というものが存在しますが、上勝町では紙よりも人の情報、その人が勧めるならきっといい人だろうという信頼関係で仕事も決まっていきます。


おかげさまで昨年は茶摘み、すだち・ゆこう・ゆずの収穫、いろどり農家、みかんの収穫、産直市場のスタッフ、バーテンダーなどなどたくさんのお仕事をいただけました。
ありがとうございました。
フリーターをするまでは身近なことではありませんでした。
誰かに知ってもらって話をしてもらえる。
それによって仕事も増えるし、人間関係も広がる。
私はこれでこの1年助けられてきました。
もちろんその分プレッシャーもありますが、紙よりも信頼というもので成り立っている。これほど確実なものはないと思います。
当たり前なんですけどね。
それを実践できている上勝町は進んでいるかもしれないなと思いました



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